実は「肉離れにテーピングは必要ない!?」理由
スポーツ中に突然「ブチッ」と走る痛み。肉離れを経験したことがある人なら、あの瞬間の恐怖を忘れられないでしょう。
多くの方が真っ先に思い浮かべるのが「テーピングで固定しておけば安心」という方法。しかし――ここに大きな誤解が潜んでいるのです。
結論から言えば、肉離れにテーピングは“必要ない”です。
確かにテーピングには、一時的に筋肉をサポートし、動きを制限する役割があります。
しかしそれはあくまで「応急処置」レベル。根本的な治癒にはつながりません。
むしろ固定に頼りすぎると、血流が滞り、回復を遅らせる可能性さえあるのです。
本当に大切なのは「正しい施術」と「再発予防」。
肉離れは筋肉の線維が部分的に裂けてしまった状態。
そこに必要なのは、まず炎症を抑え、自然治癒力を最大限に引き出す環境づくりです。
テーピングでがっちり固めてしまうと、かえって回復に必要な循環が妨げられてしまいます。
例えば、ふくらはぎの肉離れがあったときは、その関連となる筋肉(下図の赤丸)にも硬さが必ず存在しています。当院では単に患部に電気やテーピング、アイシングをするのではなく、関連筋肉へのアプローチを行なうことで、患部への回復を早めると考えています。
さらに厄介なのが「再発のリスク」。肉離れは一度やってしまうと癖になりやすいケガといわれています。なぜなら、痛みが和らぐとすぐに動ける気がしてしまい、実際には傷ついた筋肉が完全に修復されていないまま負荷をかけてしまうから。
ここでもテーピングしておしまい、痛みがなくなったからOKではなく、先ほど述べたように関連する部分にアプローチをしていないと、安静にしていただけでは筋肉の硬さが残り、再発の可能性を残したままになってしまいますので「専門的なリハビリ」と「動作の見直し」が必要です。
例えばふくらはぎ裏(下腿三頭筋)に肉離れを起こした場合、走り方や足首の柔軟性、体幹の安定性に問題が潜んでいることが少なくありません。
それを無視してテーピングで補強しても、結局は同じ場所を繰り返し痛めることになるのです。
整骨院では、肉離れを単なるケガとしてではなく「身体全体のバランスの乱れ」としてとらえます。炎症が落ち着いたあとは、周囲の筋肉や関節の動きを整え、再発しない体づくりを目指すことが重要。ストレッチや筋力トレーニングを段階的に取り入れ、正しいフォームへ導いていくのです。
テーピングに依存するより、自分の身体を根本から変えていく。その方がずっと確実で、長期的に見ても安心できる道ではないでしょうか。
もし今、肉離れを起こしてしまったなら、焦らずにまずは正しい「施術」と「安静」。専門家に相談し、再発予防を含めたケアを受けることを強くおすすめします。
テーピングは“おまじない”程度にしかならないと思っておいても過言ではありません。
その事実を知るだけで、あなたの回復はグッと早まり、未来のパフォーマンスを守ることにつながります。
肉離れからの復帰を本気で考えるなら、必要なのはテーピングではなく、正しい治療と予防への意識なのです。